推薦図書2
ここでは自分が読んでよかったと思った各種テキストを紹介します
Qどうして英語のテキストを薦めるのか? ⇒英語で論文を書くためです.日本語のテキストの方が効率よく勉強できると思いますが,自分のやった処理を論文中で説明するときに,英文を自分で構築するのが大変です.英語のテキストを読んでおくと,論文を書く際に,そのテキストの引用可能な個所をすぐに見つけられる,そして,その部分を引用すること(英借文)で,論文を効率よく書くことができるからです.どう
Qどうして日本語のテキストも薦めるのか? ⇒一冊読んだだけでは,統計の仕組みについて「分かった」という感覚を得るのは難しい,と思うからです(少なくとも私はそう).英語の教科書と,日本語の教科書(できれば読んでいる英語のテキストの訳本)を読むと,「population=母集団」,といった術語と訳語の対応付けができるようになります(「母集団」と日本語で書かれると,それだけで分かった気になるからフシギ) .また,「ああこの英語の文章はこういう意味なのか」とか,「ああ,この分かりにくい訳文はこういう意味なのか(,whichなどを使って付加的に説明がされている文章を日本語に訳すと,主語が膨らみすぎて分かりにくくなることがありますよね)」という具合に,互いの文章が分かりにくいとこを相補的に補ってくれて,より効率よく理解できると思います.
1. 生物統計関係 生態学をやっていく上で欠かせないのがデータの解釈.それには統計の知識が必要.しかし,難しいと思って敬遠しがちなものですが・・・
*博士は偉そうですが,私自身はまだ理解していない事だらけです.今後さらに勉強して,偉そうだった自分の言動に赤面する事でしょう 1.1 単変量解析 Biostatistical
Analysis 4th edition J. H. Zar (1999), Prentice-Hall ⇒統計の背景から,ANOVA,t検定などの単変量解析,カイ二乗検定,回帰,相関などを網羅.英語で論文を書く時に,解析方法の説明文を引用するのに便利.私にとっては手放せない本です.
生物統計学 R. R. Sokal and F. J. Rohlf (1983), 藤井宏一訳 共立出版 ⇒上に紹介したZar以上に有名な教科書Biometry (Sokal & Rohlf, Freeman)の縮刷版の訳本であるこの本と,英語の教科書(Zar もしくはBiometry)を読み,同じ統計手法に関する内容を日本語・英語両方で触れる事によって,統計に対する理解と英語の読解力両方を高める事ができる.
*さらに極めたい人のために. Experiments in Ecology A. J. Underwood (1997), Cambridge University
1.2 多変量解析 *多変量解析全般の入門書 The Interpretation of Ecological Data E. C. Pielou (1984), John Wiley & Sons ⇒副題A primer on classification and ordinationとあるとおり,UPGMAなどのクラスター解析とPCAなどのOrdination (序列化)の入門書.入門書とはいえ,原理の説明に固有方程式とか行列とかを多用するので,内容はかなりハード.でもこのハードプレイに耐えれば必ずいい事があると思う.「そうは言っても,数学の基礎が分からなきゃ耐えられない!」,そんな人のために,「スバラシク実力がつく! 線形代数キャンパス・ゼミ(馬場敬之・高杉豊 マセマ)」を教則本としてお勧めする.
生物群集の多変量解析 小林四朗 (1995) 蒼樹書房 ⇒日本語でかなりコンパクトにまとまっている.クラスター解析に関してはこの本で十分理解できると考えるが,Ordination (序列化)の方法に関しては,これだけだと苦しいかも.おそらく絶版で本屋さんでは買えない.図書館で探してみよう.
*「習う」より「慣れろ」! 各種ソフトウェアの解説書 MVSP, PRIMER, CANOCO, SPSS, etc… 多変量解析用ソフトウェアのマニュアルを読むだけで,かなり解析法の理解が深まる.ソフト内に組み込まれた例題用のデータを用いて実際に解析してみることで,操作も覚えるし,一石二鳥. Multivariate Analysis of Ecological Data using CANOCO. Lepš J, Šmilauer P (2003) Cambridge University Press ⇒CANOCO本体についている解説書はかなり難しい.その点この解説書は,非常に分かりやすくまとまっていると思う.おススメ!
*さらに極めたい人のために. Numerical
Ecology" 2nd edition P. Legendre & L. Legendre (1998),
Elsevier ⇒クラスター解析やPCA, CA, MDS, CCA, RDAなどの主要Ordinationの方法など,各種多変量解析法の原理を詳しく解説. 激ムズ! でも 読む価値はある.
2. 種多様性・多様度指数関係 人類による環境破壊が進む中,生物多様性の重要性が叫ばれる現在.・・・でも,多様性ってナニ?
Ecological Diversity
and Its Measurement A.
E. Magurran (1988) ⇒log normal distributionなどの種分布モデルのほか,種の豊富さ,均一性,優占度を計測する各種多様度指数の紹介と,どの状況でどの多様度指数が適しているかを解説している. 動物生態学 新版 第13章 群集:多様性と安定性 嶋田正和・山村則男・粕谷英一・伊藤嘉昭 (2005) 海遊舎 群集生態学第4章 種多様性 宮下 直・野田隆史 (2003) 東京大学出版会 ⇒この二つの章(35ページ+33ページ分)を読んでおくと,Magurranのテキストの理解度が増すだろう.
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